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浅草のお蕎麦屋さんのお話

25/04/24 20:45

浅草のお蕎麦屋さんのお話

写真は久しぶりに待機室で撮ってみました!
今日の私服です、セーラーなのは趣味です!笑

さて、前回はメニューを決めて、おばあさんがお蕎麦を作ってくれてるとこで終わった……はず?

今回からは、おばあさんとしたお話の中で抜粋した話をしようかなと思います。

おばあさんが鍋から出汁を一杯分、そして蕎麦とわかめを入れて出してくれる。

「立ち食いそば屋なんて、今の時代珍しいんじゃない?」
「そうですね……駅の中でも、中々珍しいと思います」
「経験したことある?」
「はい、数年前に」

世間話を交えながら、『なんだか雰囲気も相まって、落語みたいだ』なんて思ったり。
そんなこんなで温かいわかめ蕎麦が到着した。

「はい、わかめ蕎麦ね」
「はい。500円……でしたよね?」
「はーい。ちょうど」

500円を渡して、割り箸を手に取って、両手で割る。
パチン。お、綺麗に割れた。ちょっと気分が良くなる。
フーッ、フーッと息をふきかけてから、お蕎麦をすする。ズルズルッと口の中に入れた瞬間、温かい味がした。

おばあちゃんや、お母さんが作ってくれるような、温かい味。出汁が利いてて、でも、主張しすぎない優しい味。心と身体に沁みる味。
『そうそう、これこれ。こういうのでいいんだよ』ってやつ。

「美味しいですね。お出汁がいい味してます」
「そうだよ、鰹出汁。出汁の味がわかるなんて、若い子にしちゃ珍しいね」

おばあさんはカウンター越しの安い椅子に腰掛けて、機嫌が良さそうに笑って答えてくれた。
聞いた時はイマイチピンと来なかった。出汁が美味しいのは当たり前だろう。

「えぇ。美味しいです。鰹のいい香りがします。私は昆布との合わせ出汁も好きですけどね。あ、時そばみたいなことは思ってませんよ!?」
「アハハッ!流石に引っかかんないから大丈夫だよ。出汁が好きなんて、わかってるじゃないか。その舌大切にしな」

おばあさんは更に上機嫌になって、口を回してくれる。
最近はジャンクフードで味が濃いものが常態化してるから、みんなアメリカ舌になって、出汁の美味しさに鈍い人が多いんだとか、そういう話。

「一味も少しかけると美味しいよ。辛いから、ほんの少しね」
「へぇ、七味じゃないんですね」

珍しい店だな、とまた思う。おばあさんはニコニコとして、「そうなんだよ。だから、少しずつ足しながら食べるといいよ」と教えてくれた。

「お出汁だけでも美味しいもんだよ。日本人の舌ってのは美味しく感じるはずなんだ」
「そう、ですね。お吸い物とか、お出汁まんまですもんね」
「そうそう。お出汁と塩、わかめで美味しいんだよ」
「私は、そこにあとお麩があったら嬉しいです」

温かくて、品がある味だ。話を聞きながら、蕎麦をすすっていく。ちょっと、タイムスリップしたような気分になる。

次回、「幸せってなんだろうね」